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口笛の上手な白雪姫  小川洋子  ★   



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口笛の上手な白雪姫 [ 小川洋子 ]
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2018年1月発行 幻冬舎 229p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

劇場で、病院で、公衆浴場でー。“声”によってよみがえる、大切な死者とかけがえのない記憶。その口笛が聴こえるのは、赤ん坊だけだった。切なく心揺さぶる傑作短編集。

【目次】(「BOOK」データベースより)

先回りローバ/亡き王女のための刺繍/かわいそうなこと/一つの歌を分け合う/乳歯/仮名の作家/盲腸線の秘密/口笛の上手な白雪姫

【感想】

   どこまでも美しい短編集。
   読んでいる間中ずっとうっとりとしていた。

   読み終えてすぐ二回目を読んだ。
   このあと何回も読んでも、その度にうっとりできる。

   登場人物たちの交わすひそやかな声、目配せ、
   彼らの秘密の発見に触れることができて、
   ぞくぞくさせられる至福の時だった。

   目立たない人たちの小さな営みが
   妖しげなあちら側へと揺れ動いていく、
   その端境の美しさをこれほどまでに
   丹念に描いて読ませてくれる作家さんは
   小川さん以外にいないのでは、と思うのです。

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不時着する流星たち  小川洋子  ★ 



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不時着する流星たち [ 小川 洋子 ]
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2017年1月発行 KADOKAWA 256p


【内容情報】(「BOOK」データベースより)


ヘンリー・ダーガー、グレン・グールド、パトリシア・ハイスミス、エリザベス・テイラー…世界のはしっこでそっと異彩を放つ人々をモチーフに、その記憶、手触り、痕跡を結晶化した珠玉の十篇。現実と虚構がひとつらなりの世界に溶け合うとき、めくるめく豊饒な物語世界が出現するーたくらみに満ちた不朽の世界文学の誕生!


【目次】(「BOOK」データベースより)


誘拐の女王/散歩同盟会長への手紙/カタツムリの結婚式/臨時実験補助員/測量/手違い/肉詰めピーマンとマットレス/若草クラブ/さあ、いい子だ、おいで/十三人きょうだい


【感想】

   実在の人物に着想を得て書かれた10の短編。

   静かで密やか、
   そしてどこか不穏な、
   登場人物たちの営みが美しくて、
   それを邪魔してはいけないんじゃないかと、
   息をひそめるようにして読みました。

   流星たち、不時着してくれてありがとう。

琥珀のまたたき  小川洋子  ★   



琥珀のまたたき

琥珀のまたたき
著者:小川洋子
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2015年9月発行 講談社 317p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

妹を亡くした三きょうだいは、ママと一緒にパパが残した古い別荘に移り住む。そこで彼らはオパール・琥珀・瑪瑙という新しい名前を手に入れた。閉ざされた家のなか、三人だけで独自に編み出した遊びに興じるうち、琥珀の左目にある異変が生じる。それはやがて、亡き妹と家族を不思議なかたちで結びつけるのだが…。

【感想】

   母親によって家に閉じ込められて育つ
   三兄弟の話。

   歪んでいるのに美しかった。

   音が出ないように暮らしているのに
   音楽が流れていた。

   結末は予想できるのに
   いつまでもこの暮らしが続けばいいと願ってしまった。

   図鑑の片隅に描かれた絵の素晴らしさが
   目に浮かぶ。

注文の多い注文書  小川洋子,クラフト・エヴィング商會   



注文の多い注文書

注文の多い注文書
著者:小川洋子(小説家)
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2014年1月発行 筑摩書房 205p

【内容情報】

ふたつの才能が挑んだ
シナリオなしの真剣勝負。
全5幕。

「ないものを探してください」。小川洋子の描く人物たちの依頼に、クラフト・エヴィング商會が応える。ふたつの才能が真剣勝負で挑む、新しい小説のかたち。


【目次】(「BOOK」データベースより)

人体欠視症治療薬/バナナフィッシュの耳石/貧乏な叔母さん/肺に咲く睡蓮/冥途の落丁

【感想】

   なんて素敵なコラボ!

   美しく静かで濃密な物語世界。

   小川さんが5つの小説の中から「これ」というものを
   クラフト・エヴィング商會に注文し、
   クラフト・エヴィング商會がそれにふさわしいものを納品し、
   小川さんが受領する。

   その一連の流れがまた小説仕立てになっているのです。

   注文されているものは
   「人体欠視症治療薬」「バナナフィッシュの耳石」
   「貧乏な叔母さん」「肺に咲く睡蓮」「冥途の横丁」でした。

   それぞれが、これしかない、と思える
   小説になっていてうっとり。

   そしてこの本の中の「クラフト・エヴィング商會」が
   まるで「最果てアーケード」にあるかのようでした。

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いつも彼らはどこかに  小川洋子   



いつも彼らはどこかに

いつも彼らはどこかに
著者:小川洋子
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2013年5月発行 新潮社 216p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

たてがみはたっぷりとして瑞々しく、温かいーディープインパクトの凱旋門賞への旅に帯同することになる一頭の馬、森の彼方此方に不思議な気配を残すビーバー、村のシンボルの兎、美しいティアーズラインを持つチーター、万華鏡のように発色する蝸牛…。人の孤独を包み込むかのような気高い動物たちの美しさ、優しさを、新鮮な物語に描く小説集。

【目次】(「BOOK」データベースより)

帯同馬/ビーバーの小枝/ハモニカ兎/目隠しされた小鷺/愛犬ベネディクト/チーター準備中/断食蝸牛/竜の子幼稚園

【感想】

   やっぱり小川さんは素敵だなあ。

   心の中に動物を思う人たちのお話8つ。

   静かに慎ましやかに生きる人たちが、
   自分のなすべきことを過不足なくやり遂げる姿は
   美しい。

   少し不思議なお話だけど、
   もしかしたら自分のすぐ横にあるお話なのかもしれないね。

   そんな中「断食蝸牛」は
   少し余計なことをしたための結末が
   やはり…という感じ。

   私が蝸牛が苦手なのもあって
   かなりぞわぞわしました(笑)。

ことり  小川洋子  ☆   



12年ぶり、待望の書き下ろし長編小説。親や他人とは会話ができないけれど、小鳥のさえずりはよく理解する兄、そして彼の言葉をただ一人世の中でわかるのは弟だけだ。小鳥たちは兄弟の前で、競って歌を披露し、息継ぎを惜しむくらいに、一所懸命歌った。兄はあらゆる医療的な試みにもかかわらず、人間の言葉を話せない。青空薬局で棒つきキャンディーを買って、その包み紙で小鳥ブローチをつくって過ごす。
やがて両親は死に、兄は幼稚園の鳥小屋を見学しながら、そのさえずりを聴く。弟は働きながら、夜はラジオに耳を傾ける。静かで、温かな二人の生活が続いた。小さな、ひたむきな幸せ……。そして時は過ぎゆき、兄は亡くなり、弟は図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて持ち歩く老人、文鳥の耳飾りの少女と出会いながら、「小鳥の小父さん」になってゆく。世の片隅で、小鳥たちの声だけに耳を澄ます兄弟のつつしみ深い一生が、やさしくせつない会心作。

ことり

ことり
著者:小川洋子(小説家)
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2012年11月発行 朝日新聞出版 249p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

世の片隅で小鳥のさえずりにじっと耳を澄ます兄弟の一生。図書館司書との淡い恋、鈴虫を小箱に入れて歩く老人、文鳥の耳飾りの少女との出会い…やさしく切ない、著者の会心作。

【感想】

   「あるべきものをあるべき場所に」という言葉が
   思い浮かびました。
   小鳥とともに生きて小鳥とともに死んだ
   小父さんの静かな日々が美しく構築されています。

   お兄さん、図書館司書、老人、少女、
   そして小鳥たちも息づいて。

   これしかない、という世界を堪能。

とにかく散歩いたしましょう  小川洋子  ☆   



とにかく散歩いたしましょう

とにかく散歩いたしましょう
著者:小川洋子
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2012年7月発行 毎日新聞社 204p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

締切前の白紙の恐怖。パン屋での五千円札事件。ハダカデバネズミとの心躍る対面。何があっても、愛する本と毎日の散歩ですべてのりきれる…心にじんわりしみるエッセー集。

【目次】(「BOOK」データベースより)

「る」と「を」/ハンカチは持ったかい/イーヨーのつぼの中/本の模様替え/散歩ばかりしている/ポコポコ頭を叩きたい/盗作を続ける/長編み、中長編み、長々編み/肉布団になる/自分だけの地図を持つ〔ほか〕


【感想】

   毎日新聞に連載されていたエッセイ。
   新聞で読んでいたけれど
   こうやってまとまったものを読んで、
   あらためて、
   小川さんの愛らしさや繊細さや生き生きとした好奇心や
   生き物に対する愛情や作家としての業や才を堪能しました。

   小川さんって本当に素敵。

   本書によれば小川さんは
   フィギュアの高橋大輔選手がお好きだそうです。
   「道」のプログラムをご覧になった感想を書かれた文章が、
   高橋選手の演技に負けず劣らず美しくて泣きそうに。
   はぁ~。溜息。
   あの感動がまたよみがえりました。


最果てアーケード  小川洋子  ☆   



最果てアーケード

最果てアーケード
著者:小川洋子(小説家)
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2012年6月発行 講談社 221p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

ここは、世界でいちばん小さなアーケードー。愛するものを失った人々が、想い出を買いにくる。小川洋子が贈る、切なくも美しい記憶のかけらの物語。

【感想】

   世界の片隅にある世界で一番小さなアーケード。
   そこには風変わりなお店があり商品があり店主がいて客がいる。

   大家であり配達係である女性の目を通して語られる
   不思議でつつましやかで儚くて凛としていて美しくて哀しい日常。

   まさに小川ワールド。

   途中から感じ始めた違和感は
   次第に大きくなり
   読み終えてああやっぱりと思ったけれど
   不思議な明るさ。

   レースや百科事典や義眼など、
   ものに対する愛が濃密に描かれているから?
   そして人々の思いやりが温かいから?

   でも押しつけがましくない、静かな佇まいの物語でした。

人質の朗読会  小川洋子  ★  




人質の朗読会

2011年2月発行 中央公論新社 247p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた。紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは人質たちと見張り役の犯人、そして…しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。

感想 

   地球の裏側(おそらく南アメリカ)の地で
   反政府ゲリラにより誘拐された日本人8人が
   100日以上たった後の銃撃戦で亡くなった後に
   見つかった現地の様子を録音した「盗聴テープ」。

   そこに語られていたのは 8人の人質が体験した
   不思議で 静かな でも温かい物語。
   極限の状況の中で語られたとは思えないほど
   ユーモアも余裕も感じられる物語。

   人というのは絶望の中でも
   これほど 崇高な精神を保てるものか。
   感嘆の思いで読みました。

   そして 最後に添えられた 盗聴していた政府軍兵士の物語。
   そこに語られる日本人人質に投影される「ハキリアリ」の姿。
   
   「各々、自らの体には明らかに余るものを掲げながら、
    苦心する素振りは微塵も見せず、むしろ、
    いえ、平気です、どうぞご心配なく、とでもいうように進んでゆく、
    余所見をしたり、自慢げにしたり、誰かを出し抜いたり
    しようとするものはいない。
    これが当然の役目であると、皆がよく知っている。」
    (本文247ページ)

   ただひたすら 日本に生まれたことに感謝。

原稿零枚日記  小川洋子  


原稿零枚日記

2010年8月発行 集英社 234p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

「あらすじ」の名人にして、自分の原稿は遅々としてすすまない作家の私。苔むす宿での奇妙な体験、盗作のニュースにこころ騒ぎ、子泣き相撲や小学校の運動会に出かけていって幼子たちの肢体に見入る…。とある女性作家の日記からこぼれ落ちる人間の営みの美しさと哀しさ。平凡な日常の記録だったはずなのに、途中から異世界の扉が開いて…。お待ちかね小川洋子ワールド。

感想

   作家さんというのは なんて想像力が豊かなんでしょう。
   主人公の女性と小川さんとが重なり
   なんだか小川さんの心のうちを
   のぞかせてもらったような気がしました。

   原稿が書けないという設定の作家ですけれど
   この日記に紡がれる物語はそれぞれ 充分ひとつの物語として
   成り立っていました。

   平凡な日常の向こうに見えてくる不思議の世界。
   足元がふわふわするような 背中がぞわぞわするような
   奇妙なひとときを味わいました。