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追憶のカシュガル 進々堂世界一周  島田荘司



西域に咲く幻の桜、時空に消えた殺意……。京大裏の喫茶店で、御手洗潔が語る物語は謎を孕み、人生の光と影を照らし出す。甘美で数奇な四篇のミステリー。


追憶のカシュガル

2011年4月発行 新潮社 290p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

時は一九七四年、京都大学医学部に在籍していた御手洗潔は、毎日、午後三時に、進々堂に現れた。その御手洗を慕って、同じ時刻に来るサトルという予備校生がいた。放浪の長い旅から帰ったばかりの御手洗は、世界の片隅で目撃した光景を、静かに話し始める…。砂漠の都市と京都を結ぶ幻の桜、曼珠沙華に秘められた悲しき絆、閉ざされた扉の奇跡、そして、チンザノ・コークハイの甘く残酷な記憶…。芳醇な語りが、人生の光と影を照らし出す物語。

【目次】(「BOOK」データベースより)

進々堂ブレンド1974/シェフィールドの奇跡/戻り橋と悲願花/追憶のカシュガル

感想 

   御手洗氏が世界各地で見たり聞いたりした
   お話。
   どれも 人間の汚さや戦争の醜さを
   伝えるお話。
   異国情緒にのせて 語られていきます。

   どれも心に染み入ってきて
   静かに読み進めたのですけれど
   最後にあった「後記」を読んで胸をつかれました。

   3月22日に書かれた
   東日本大震災に対する島田さんの気持ち。
   読み終えて滂沱の涙でした。
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写楽 閉じた国の幻  島田荘司    

ミステリ界の巨匠が、遂に「写楽の正体」を捉えた! 錯綜する矛盾、同時代人の奇妙な沈黙、見過ごされてきた日記。点と線をつないで浮上した「犯人」とは?


写楽閉じた国の幻

2010年6月発行 新潮社 684p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

わずか十ヶ月間の活躍、突然の消息不明。写楽を知る同時代の絵師、板元の不可解な沈黙。錯綜する諸説、乱立する矛盾。歴史の点と線をつなぎ浮上する謎の言葉「命須照」、見過ごされてきた「日記」、辿りついた古びた墓石。史実と虚構のモザイクが完成する時、美術史上最大の迷宮事件の「真犯人」が姿を現す。

感想

   「写楽は何者か」という問題は 作家さんたちにとっても
   魅力的であるようで これをテーマにした小説は
   何冊か読んだ記憶があります。

   島田さんの新しい作品は
   このテーマに果敢に挑まれたもの。
   684ページとい長いお話の中に
   島田さんの執念がつまっているように思います。
   
   現代の浮世絵研究家の元に届いた 肉筆の浮世絵をスタートに
   その研究家の家族の崩壊をきっかけにして
   彼はどんどん写楽研究にのめりこんでいくと言うストーリー。
   
   現代の調査の進展と
   写楽誕生の真相は こうであったろうと島田さんが考えられた
   江戸の情景が 交互に語られて まったく新しい写楽像へと
   導かれていきました。

   作品中に示されている資料と解釈によると
   とても納得のできる写楽像でした。

   ただ 出だしの肉筆の浮世絵や 浮世絵研究家の子供の死や
   途中から偶然のように調査に加わることになった東大の教授など 
   現代のお話のほうに なんだか謎めいたことを
   いろいろ散りばめながらも
   そちらは ほったらかしになったのが残念でした。

   島田さんご本人も「後書き」で そのあたりのことを
   いつか吐き出したいと語っておいでです。
   その日を楽しみに待ちたいです。