空耳の森 七河迦南
春山で吹雪に遭遇した恋人たち、孤島に取り残された幼い姉弟、居酒屋で安楽椅子探偵と出会った男……彼らにもたらされた謎と奇蹟。万華鏡のごとき9編を収録。
![]() 空耳の森 |
2012年10月発行 東京創元社 307p
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
まだ早い春の日、思い出の山を登るひと組の男女。だが女は途中で足を挫き、つかの間別行動をとった男を突然の吹雪が襲う。そして、山小屋でひとり動けない女に忍び寄る黒い影ー山岳を舞台にした緊迫のサスペンス「冷たいホットライン」。孤島に置き去りにされた幼い姉弟の運命を描く「アイランド」。ある不良少女にかけられた強盗の冤罪をはらすため、幼なじみの少年探偵が奔走する「さよならシンデレラ」。居酒屋で男が安楽椅子探偵に遭遇する「晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)」…『アルバトロスは羽ばたかない』で一躍注目を浴びた鮎川哲也賞受賞作家の本領発揮。一編一編に凝らされた職人的技巧に感嘆すること間違いなしの、バラエティに富んだ九編を収める。
【目次】(「BOOK」データベースより)
冷たいホットライン/アイランド/It’s only love/悲しみの子/さよならシンデレラ/桜前線/晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)/発音されない文字/空耳の森
【感想】
そっか、そっか、そういうことか~!
最後まで読み終えてじわじわと感動。
9つの短編。
最初の方は「ふん、ふん、なるほど」と
ミステリーを軽く楽しんでいたのだけれど、
次第に「あれ、この人さっきも出てきた?」とか思い始めて、
最後はそこに来ますか~。
最後の一編で全部を引き受けてまとめているから、
もう一度初めから読みなおしました。
緻密な技が効いた短編集。
七河さんがこれまでに出された
『七つの海を照らす星』『アルバトロスは羽ばたかない』を
読んでいる方が、より楽しめると思います。
私はこのラストはうれしいですぞ!
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- [2012/11/27 23:21]
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アルバトロスは羽ばたかない 七河迦南
冬、七海西高校の屋上で、少女は“運命”に追いつかれた。そこで起きた悲劇は、誰もが言うように事故だったのか? 鮎川哲也賞受賞作『七つの海を照らす星』に続く連作長編。

アルバトロスは羽ばたかない
2010年7月発行 東京創元社 309p(二段組)
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
児童養護施設・七海学園に勤めて三年目の保育士・北沢春菜は、多忙な仕事に追われながらも、学園の日常に起きる不可思議な事件の解明に励んでいる。そんな慌ただしい日々に、学園の少年少女が通う高校の文化祭の日に起きた、校舎屋上からの転落事件が影を落とす。警察の見解通り、これは単なる「不慮の事故」なのか?だが、この件に先立つ春から晩秋にかけて春菜が奔走した、学園の子どもたちに関わる四つの事件に、意外な真相に繋がる重要な手掛かりが隠されていた。鮎川哲也賞作家が描く、季節を彩る五つの謎。『七つの海を照らす星』に続く、清新な本格ミステリ。
感想
読み終わって ええええ~!!と
驚かされました。
冬に起こった事件を調査する合間に
春・夏・初秋・晩秋に起こった事件(日常の謎系)を
回想するという構成。
春・夏・初秋・晩秋の事件の結果も
冬の事件を解くための手掛りになっているという
凝った内容です。
七海学園の先生・北沢春菜が
子供たちのことを考えて
体当たりで取り組んでいるのが
読んでいて気持ちよかったです。
最後はね~。
いろいろ言いたいことはあるのですが
ネタバレになるので書けないのが残念。
これは ぜひ続編を!
前編の『七つの海を照らす星』は読んでおいた方が
人物関係などがわかりやすくて
より楽しめると思います。
こちらも鮮やかな日常の謎系ミステリでした。

- [2012/01/10 15:03]
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七つの海を照らす星 七河迦南

七つの海を照らす星
2008年10月発行 東京創元社 308p
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
様々な事情から、家庭では暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設「七海学園」。ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。孤独な少女の心を支える“死から蘇った先輩”。非常階段の行き止まりから、夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと、いるはずのない“七人目”が囁く暗闇のトンネル…七人の少女をめぐるそれぞれの謎は、“真実”の糸によってつながり、美しい円環を描いて、希望の物語となる。繊細な技巧が紡ぐ短編群が「大きな物語」を創り上げる、第十八回鮎川哲也賞受賞作。
【目次】(「BOOK」データベースより)
今は亡き星の光も/滅びの指輪/血文字の短冊/夏期転住/裏庭/暗闇の天使/七つの海を照らす星
感想
児童養護施設「七海学園」を舞台にした
日常の謎系のミステリ。連作短編集。
学園の七不思議から引き起こされた事件を
若手職員の北沢春菜が
児童相談所の職員・海王さんの助言を得ながら
調査していきます。
いろいろな理由があって 親と離れてくらさないといけない
子供たちの寂しさや怒りや
児童養護施設や児童相談所をめぐる社会事情などを背景にしつつ
春菜ちゃんの奮闘と海王さんの包容力が
子供たちの不安と 6つの日常の謎を解決します。
ふたりの 子供に対する気持ちが温かい。
そして最後の短編で 全体を通しての謎が明らかにされる。
その構成も鮮やかでした。
こういう読みやすい日常の謎系ミステリは
読み終わって いい気持ちになるのですけれど
時間をたつと忘れてしまいがちなので(汗)
内容を簡単にメモメモ。
今は亡き星の光も/学園を出て行ったあとすぐ亡くなった生徒が
後輩に会いに来た。
滅びの指輪/空き家で見つかった 戸籍を持っていなかった少女は
高校卒業前に大金を手に入れた。
血文字の短冊/週末に自分の家に一時帰宅した少女は
父親が自分を憎んでいると思い込んで帰ってきた。
夏期転住/結婚を間近に控えた青年は
少年の日に短期間会った少女が忘れられない。
裏庭/誰からも頼られる少女は 裏庭に忍び込んできた
少女の姿を見ていた。
暗闇の天使/トンネルを6人の少女がくぐると
天使の声が聞こえてくる。
七つの海を照らす星/春菜が知った真実とは。
続編『アルバトロスは羽ばたかない』も読もうと思っています。

- [2012/01/10 15:01]
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