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静人日記  天童荒太    


静人日記

2009年11月発行 文藝春秋 325p

【内容情報】(楽天ブックスより)

見知らぬ死者を悼み、全国を放浪する静人。日記という形式をとり、過酷な旅の全容と静人の脳裏に去来する様々な思いを克明に描く

感想

   死者を悼んで放浪する静人の日記。
   時期的には「悼む人」より前で 期間は7ヶ月。

   毎日「死」の様子や 故人の生前の様子や
   それに対する周りの人たちの反応が
   克明に描かれていて 読んでいてつらくなることもありましたが
   故人が「誰を愛し 誰に愛され どんなことで感謝されていたか」
   が 静人によって掘り起こされ 癒しへとつながりました。

   これだけ日々 真摯に死と向き合うと消耗するでしょう。
   静人=天童さんの命を削って創られた日記のように思いました。
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悼む人  天童荒太   



2008年11月発行 文藝春秋 450p

【内容情報】(楽天ブックスより)

善と悪、生と死が交錯する。『永遠の仔』以来の感動巨編。全国を放浪し、死者を悼む旅を続ける坂築静人。彼を巡り、夫を殺した女、人間不信の雑誌記者、末期癌の母らのドラマが繰り広げられる。

週刊誌記者・蒔野が北海道で出会った坂築静人(さかつき・しずと)は、新聞の死亡記事を見て、亡くなった人を亡くなった場所で「悼む」ために、全国を放浪している男だった。人を信じることが出来ない蒔野は、静人の化けの皮を剥(は)ごうと、彼の身辺を調べ始める。やがて静人は、夫殺しの罪を償い出所したばかりの奈義倖世と出会い、2人は行動を共にする。その頃、静人の母・巡子は末期癌を患い、静人の妹・美汐は別れた恋人の子供を身籠っていた――。
静人を中心に、善と悪、愛と憎しみ、生と死が渦巻く人間たちのドラマが繰り広げられる。著者畢生(ひっせい)の傑作長篇がいよいよ登場です。

感想
 
   天童さんの作品は 最近敬遠していたのですが
   直木賞をとりましたね。
   
   静人の悼む行為とは 故人が
   「誰に愛され、また誰を愛していたか、
    どんなことで感謝されていたか」を
   尋ねて その人を覚えておくというものです。
   死んだ理由や 誰が悪かったかのかなどには関わらず
   故人その人のみ追い求めるものでした。

   ラストで 静人に悼まれた人たちが
   あの世と思われる場所で 幸せな様子だったことで
   彼の悼む行為が正しいものだったことが示されたようです。

   あくどい雑誌記者だった蒔野や
   夫を殺した奈義倖世は 静人と関わることで
   心の平安を取り戻していきました。
   
   静人の母の闘病生活が 壮絶でした。
   母本人は あくまで陽気に過ごしていましたけれど。
   ラストは想像していたのとは 少し違いましたが
   心静かに逝くことが出来たようで 安堵です。

   天童さんの 重くて静かなお話でした。