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ふれられるよ今は、君のことを  橋本紡 



高野楓(たかの・かえで)はやる気のない中学校教師。熱血教師が次々に心を病んで辞めていく教育の現場で、自分は常に適当に仕事をしてきたからこそ生き残れたのだ、という自覚がある。恋愛経験がなくもないが、なんとなく独り身できた。しかし最近、ひょんなことから、年下の彼氏を居候させている。センスがよく料理上手な彼との日常はたのしいが、困ったことがひとつ。この彼は、ちょくちょく姿をくらませてしまうのだ。野崎先生は楓の先輩教師で、熱血なことが鼻につくが、なにかと頼られてしまう。この先生に問題児・市田君の面倒をみてほしいと頼まれ、いやいやながら引き受ける。市田君は、図抜けた卓球の才能があり、卓球部員なのだが、全くやる気がなく、卓球台の下で本を読んでいるというのだ。楓は、自分の管轄である社会科資料室の整理を市田君に頼む。市田君は分類と整理といったことが無類に好きらしく、本当は誰からも必要とされていない作業に嬉嬉として励む。恋愛不能、発達障害といった現代的問題をふわりと包み込み、見事な大人のファンタジーとして仕上げた傑作長篇。

ふれられるよ今は、君のことを

ふれられるよ今は、君のことを
著者:橋本紡
価格:1,470円(税込、送料込)
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2012年11月発行 文藝春秋 258p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

冴えない中学教師・楓は年下の彼と同棲中。困るのは、この素敵な恋人がときどき“消えて”しまうことー。奇跡の恋愛ファンタジー。

【感想】

   中学教師の楓は年下の彼氏と同棲中、
   とても仲良しなんだけれど
   彼はときどき消えてしまう。

   学校では少々問題児の市田君と放課後をともに過ごす。

   これでいいか、と思っていたけれど、
   やっぱりこれではいやだ、
   と思いはじめる楓。
  
   楓の行動を見たら、
   自ら手を伸ばす、ってとても大事なんだなぁと
   改めて思った。

   大人の恋愛ファンタジー。
   橋本さんらしく、お料理のシーンが多く、
   出来上がった料理がどれも美味しそうでした。

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ハチミツ  橋本紡   



バリキャリ、OL、高校生。毎日いろいろあるけれど、一緒にごはんを食べればほら、もう大丈夫。三姉妹それぞれの悩みと歓びを描きだすガールズ長編。

ハチミツ

ハチミツ
著者:橋本紡
価格:1,365円(税込、送料込)
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2012年6月発行 新潮社 269p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

しっかり者の澪、おっとりした環、天然な杏は歳の離れた三姉妹。いつも美味しいものを食べながら仲良く暮らしている…はずでした。なのに次女、環の妊娠をきっかけに、それぞれの人生に転機が訪れてー。恋、仕事、からだのこと…女子は生きてるだけで悩みがいっぱい!曲がり角だらけの人生を暖かく包み込むガールズ長編小説。

【感想】

   母親の違う澪・環・杏の三姉妹と
   しょっちゅう新しい女の人と付き合って家出を繰り返す父親。

   ぜんぜん普通じゃない家庭で
   三姉妹は何を思い、どう行動しているのか。

   それぞれ、失敗したりヘンなところがあったり、
   えー、って思うことも多いけれど、
   なぜか結局はすとんと納得。

   それは彼女らが食事を大切にしているからかなぁ。
   杏の作る料理はどれも美味しそうだし、
   それを三人そろって食べるという朝の風景も好ましい。
   それがいろいろなことをリセットして、
   彼女らの中心を形作っているのだろう。

   三姉妹と父親がこれからも幸せな食事ができますように。

   ただ、年長の澪と環は家のことを
   高校生の杏に甘えすぎではないかしら。
   ねぇ。いくら杏がそれを好きだとはいえ。

今日のごちそう  橋本紡 




今日のごちそう

2012年3月発行 講談社 283p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

ふっくら、ことこと、こんがり、とろり。悲しい時もせつない時も、ごはんが元気を連れてくる。おいしいものいろいろ詰め合わせ、心がほっこりあたたまる極上お料理小説。

【目次】(「BOOK」データベースより)

伊達巻/伊勢風雑煮/豆/ごまかしのカルボナーラ/アンコウ鍋/花見弁当/のり弁/うどん/トマト味の煮込み/煮豆/漬け物/ポトフ/オレキエッチ/クロックマダム/お好み焼き/素麺/味噌漬け/ラタトゥユ/ホットコーヒー/団子/ココナッツミルクのカレー/シャンパン/ローストチキン

感想 

   帯には「お料理」とあるけれど
   「料理」せずに飲食することもある23の短編。

   ほとんどの話には作り方が織り込まれています。
   さすが橋本さん、どれも美味しそう。
   
   どんな状況で 誰と 何を 作り食べるか。
   食事って前に向かって生きていく力をくれるのだと
   思わせてくれました。

   中の一話「トマト味の煮込み」では
   10時間以上寝ている間ずっと
   コンロをつけっぱなしだったのだけれど
   大丈夫?って心配しちゃいました。
   ワンルームの小さな「コンロ」って
   ガスコンロのことかと思ったけれど
   電気でも「コンロ」っていうのかな。
   電気なら大丈夫なのかもしれないですね。


イルミネーション・キス  橋本紡 



デザイン事務所で働くOL西野は上京して数年、東京での日々に流されるよう生きてきた。そんな日常の中で、ふと意識しだした年下デザイナー伊藤の存在。不器用な生き方の二人が恋を始めるのに必要なのは、今この瞬間のキス・・・(表題作)。さまざまなキスのシチュエーションを切りとって描く、温かくて切ない5つの物語。


イルミネーション・キス

2012年1月発行 双葉社 247p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

デザイン事務所で働くOL西野は上京して数年、東京での日々に流されるまま生きてきた。同じことの繰り返しのように見えた日常の中で、年下デザイナー伊藤の存在が、ふと気になりはじめ…。不器用な生き方の二人が恋を始めるのに必要なのは、イルミネーションに彩られた街なかで、今この瞬間に交わすキスだったー(表題作)。誰もがそっと胸にしまってある大切なシーンを、やわらかな筆致で呼びおこす5つの物語。

【目次】(「BOOK」データベースより)

フレンズ・キス/ガールズ・キス/パストデイズ・キス/イルミネーション・キス/ハウスハズバンド・キス

感想 

   幼馴染・友達・合コン?で出会った相手・
   職場の後輩・家族とのキス。

   それぞれ気恥ずかしくて、でも大切で、
   何かが始まる予感を秘めた5つのキスの物語。

   キスがメインじゃなくて、
   登場人物の心の動きの先にさりげなくあるのが
   よかったですわぁ。

   「ハウスハズバンド〜」は
   作者の橋本さんを思い浮かべた。
   育児に関しての葛藤がうなずけます。

   その他の4編もどれも素敵だったけれど
   特に「フレンズ〜」が若くて苦くて懐かしくて
   胸が苦しくなり印象深いです。

   装丁は可愛いけれど
   内容は可愛いだけじゃない1冊でした。


葉桜  橋本紡  ☆   



書道教室で生まれた、長い長い片想いの行方

小学生の頃から通う書道教室の先生に、長い片想いをしている佳奈。けれど先生には奥さんがいて・・・・・・。春から夏へと移りゆく季節のなかで、ひとりの少女の成長を繊細に紡ぎだす長編青春小説。


葉桜

2011年8月発行 集英社 247p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

高校生の佳奈は、書道教室の継野先生へ思いを寄せてきた。けれど、先生には由季子さんという奥さんがいて…。美人で天才、自由奔放な妹の紗英が背負っている、命の不安。他の教室からやってきた津田君の、真摯に書道に打ち込む姿。周囲の思いに背中を押されるように、佳奈のなかで何かが大きく変わろうとしていたー。春から夏へ、少女から大人へ。まぶしく切ない青春恋愛小説。

感想 

   女子高生が自分が習っている
   お習字の先生に恋をして
   それを告白する、というお話なのですが
   なんとみずみずしく、なんと透明感あふれる
   物語となっていることでしょう。

   書道教室の
   少し暗い部屋の中に漂う墨の香り。
   墨をする音、筆と半紙が触れ合う音。
   そんな中で育まれた佳奈の恋。
   
   それを届けるべきか自分の胸にしまっておくべきか。
   悩んだ佳奈がとった手段があまりにも美しくて、
   そしてせつなくて涙が出ます。

   書道と和歌のある日本の文化が誇らしい。
   深く奥行きのある文化を
   私たちが持っていることに気付かされました。
   それを自分のものとして使えないのが悔しいな。

   書道教室で培ったものを糧として
   きっと佳奈は素敵な女性になると信じています。

空色ヒッチハイカー  橋本紡   


空色ヒッチハイカー

単行本版 2006年12月発行 新潮社 281p
文庫本版 2009年8月発行 新潮社 345p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

人生に一度だけの18歳の夏休み。受験勉強を放り出して、僕は旅に出る。兄貴の残した車に乗って、偽の免許証を携えて。川崎→唐津、七日間のドライブ。助手席に謎の女の子を乗せて、心にはもういない人との想い出を詰めて、僕は西へ向かう。旅の終わりに、あの約束は果たされるだろうか─。大人になろうとする少年のひと夏の冒険。軽やかな文章が弾ける、ポップでクールな青春小説。

感想

   お兄ちゃんの残したキャデラックに乗って 西に向かう
   彰二・18歳の夏。
   一人だけのドライブはつまらないと 途中でヒッチハイカーを
   拾うと それが杏子ちゃんという素敵?な女の子。
   その後も 次々とヒッチハイカーを拾い
   その人たちとの交流の中で 自分とお兄ちゃんを見つめなおす
   彰二。
   
   軽いようで真面目な彰二と
   口は悪くても思いやりのある杏子ちゃんが
   いいコンビです。
   18歳の男の子の兄弟・受験・友情・恋愛についての
   気持ちが生き生きと語られていました。

   最後の決着には爆笑。
   ばかばかしいけれど まじめに終わるよりも
   彰二らしいかも。

もうすぐ  橋本紡   


もうすぐ

2009年3月発行 新潮社 386p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

お子さん、まだ?焦りと戸惑い、嫉妬、胸の中からあふれだす願望。結婚しても、競争は終わらない。妊娠と出産をめぐる現実を書ききった渾身の長編。

感想

   妊娠と出産についての6つ+αのエピソードを連ねていって
   高齢出産や不妊治療や産科医療について
   現実をあぶりだしているようなんですけれど・・・

   ちょっと視点が一面的な気がします。
   橋本さんが書きたいテーマだったようですが
   私は 橋本さんの本ならいつもの感じの方が読みたいかな。

   でも今回 橋本さんが男性だと知ってびっくりしました。
   てっきりお若い女性だと思っていたので。


橋をめぐる いつかのきみへ、いつかのぼくへ  橋本紡   



2008年12月発行 文藝春秋 280p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

広告会社に勤めるOL、友香。父と和解はできるのか『清洲橋』、銀座でならしたバーテンダー、耕平。深川で自分の店を持つが『亥之堀橋』、進学校の秀才と不良少年の再会『大富橋』、バツイチの佳子は英会話教室の生徒との逢瀬をやめられない『八幡橋』、新居探しで足を棒にする美穂と哲也のカップル『まつぼっくり橋』、世田谷から来た千恵と、祖父エンジとの交流の物語『永代橋』。水の都・深川を舞台に描く六つの人生。

【目次】(「BOOK」データベースより)

清洲橋/亥之堀橋/大富橋/八幡橋/まつぼっくり橋/永代橋

感想

   橋をわたることが 人生の大きなポイントと
   なっている人たちのお話。
   人情あふれる人と人の触れ合いが 心地よかったです。
   描写されている深川の情景を 実際に知っていたら
   もっと楽しく読めるかもしれません。
   

猫泥棒と木曜日のキッチン  橋本紡  ☆   



単行本版 2005年8月発行 メディアワークス 233p
文庫本版 2008年12月発行 新潮社 220p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

お母さんが家出した、わたしたちを置いて。お父さんはずっと前にいなくなった。けれどもわたしは大丈夫。弟のコウちゃんと二人で生きていく。友だちの健一君だって応援してくれる。そんなある日、わたしは道ばたで「絶望」に出会ってしまった―。失くした希望を取り戻すために、拒まれた願いを実現させるために、高校生・みずきの戦いと冒険が始まる。生きることへの励ましに満ちた物語。

感想

   お母さんが出て行っても みずきはどこかに感情を忘れてきたように
   淡々と毎日を過ごしていました。
   それが 「絶望」というのは 子猫のことなんですけれど
   それを助けることで みずきに欠けていた感情があふれ出してくるのが
   乾いた土地に水がしみていくようで みずみずしかったです。

   それにしても 健一君は良い子ですね~。
   他の橋本さんの作品と同様に お料理が美味しそうでした。

彩乃ちゃんのお告げ  橋本紡    



2007年10月発行 講談社 195p 

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

素朴で真面目で礼儀正しくて。一見ふつうの5年生だけど彩乃ちゃんには、見えている。周りの人のちょっとした未来。うまくいかない相手と仲良くする方法。幸運をよぶ少女と迷える人たちのひと夏のできごと。注目の著者が描く優しいファンタジック・ストーリー。

【目次】(「BOOK」データベースより)

夜散歩/石階段/夏花火

感想

   小学生にして「教主さま」。
   未来が見えて うまくいかない相手と仲良くする方法がわかる
   彩乃ちゃんが ひと夏に出会った3人を幸福に導くお話。
   「明日は、きっといいことあるよ。」と
   彩乃ちゃんに手助けされて 3人は幸せになっていきそうなんだけど
   彩乃ちゃんの幸せはどこにあるのかな。

   宗教団体の思惑で あちらこちらに 短期間ずつ預けられて
   そこで出会った人を幸せにしてあげるんだけど
   彩乃ちゃんは マニキュアと、ペンダントと、指輪をもらっただけで
   いいのかな。
   「教主さま」だから 他の人の幸せが 彩乃ちゃんの幸せなのかな。

   というひっかかりはありますが
   橋本さんらしい 透明感あふれるお話でした。
   続編がでるといいなぁ。