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静かな雨  宮下奈都  ★   



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静かな雨 [ 宮下 奈都 ]
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2016年12月発行 文藝春秋 112p

【内容情報】(「BOOK」データベースより)

忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない。新しい記憶を留めておけないこよみと、彼女の存在がすべてだった行助。『羊と鋼の森』と対をなす、著者の原点にして本屋大賞受賞第一作。

【感想】

   事故にあって記憶が一日でリセットされてしまうこよみと、
   松葉杖をついている僕(行助)。

   ふたりのささやかなつつましい日常。
   けれどそれは閉じたものではなくて、
   ちゃんと世界に向き合ってる美しく凛とした日常。

   ああ、これこそ宮下さんの小説だ。

   しずかに日常を生きる二人の、
   世界との向き合い方、
   人のありように対する思いの馳せ方に
   背筋が伸びる。

   可能性は無限で、
   たとえ一日で記憶がリセットされても、
   松葉杖をついていても、
   若くはなくても、
   その無限が一割でも残っていたら
   それは無限だという気概にしびれる。

   「意識に上るかどうかは関係なく、
   経験したぜんぶのことが人をかたちづくっている」
   「毎日の生活の中での思いで
   人はできてるんじゃないかと思う」って文中にあった。

   宮下さんの小説を読むたび、
   わたしもどこか変わっていっているのだろうか。

   ぜんぜん、登場人物には届かないけれど、
   少しでもその近くにいけたらいいな、って思う。

   いつも宮下さんの小説を読んで思うことだけど、
   このデビュー作でも強く強くそう思った。
   もう50歳を過ぎたけど、
   そう、可能性は無限だ。

   このデビュー作には
   宮下さんが雑誌・文藝春秋で書いてらっしゃったように、
   その後の作品につながる種子がいっぱいあった。
   ここから始まったんだ。

   この先、
   どんな芽が出てどんな植物になってどんな花が咲いて
   どんな実を結ぶのかな。
   とても楽しみだ。

   そんな思いにさせてもらえたのは、
   こうやって本になって読み返せたおかげだ。

   美しい内容、美しい文章にふさわしい、
   美しい装丁の一冊。
   また本棚の宝物が増えた。

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